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監修の斉藤先生ブログ

研修医への講義

さいとう整形外科リウマチ科の斉藤です。

昨日は午前診療の後、古巣である名古屋医療センターに行ってきました。

毎年恒例の、骨折の見方と初期対応についての講義です。

90分の骨折についての講義の後、救急の骨折初期対応に必要な初期固定方法について実習できる、我ながら良い内容の講習会。今年で10年目になります。

僕の書いた骨折初期対応のための本も、研修医君達はすでに読者になってくれていました。
嬉しいことです(^-^)

そして、3時間の講習会の終わり頃には、膝の触診と関節穿刺の仕方についても手ほどきを行い、続いて研修医の肩こり腰痛の診断と治療へと話が及びました。

研修医の中に、学生の時に腰椎椎間板ヘルニアと診断された人がいました。
MRIでしっかりと椎間板が飛び出ていたから、私はヘルニアがあって困っているとのことです。

さて、そのヘルニアは痛みの本当の原因ですか?と問うとキョトンとしていました。

では、診察してみましょうか、と前屈すると床まで手が届きません。

前屈でどこか痛みがありますか?と言うと、膝の後ろが張るそうです。
後屈、側屈、回旋では痛みが出ません。

そしてうつ伏せになってもらい、ふくらはぎを押すとめちゃくちゃ痛がります。

しばらくふくらはぎをほぐした後、臀部を触るとそこも痛がります。臀部もほぐします。

長年の痛みのため、その一瞬で取りきることは出来ませんでしたが、それでもその後に前屈してもらうと手が床に届くようになっていました。先ほどの膝裏の張りも軽くなっています。

ほらね、痛みの原因はヘルニアではなかったでしょ。
というと、研修医君も驚いていました。

するともう1人の研修医君が、私は首が左に向きづらいんです。と手をあげました。

首の可動域を調べると、確かに左に側屈しにくいようです。

そしてしばらく首のトリガーポイントをほぐしてあげると、さっきよりも左に首が倒れるようになり、むしろ右よりもよく動くようになりました。

さらに、最近手が後ろで組めなくなったというので、肩甲骨もほぐしてあげると、後ろで手が組めるようになったと驚いていました。

研修医ですら、自分の腰痛がヘルニアであると信じているのですから、まだまだ筋膜性疼痛MPSは全く認知されていません。

次は骨折ではなく、「研修医のための運動器の診察と筋膜性疼痛の見方」で講義をしなきゃいけいけないかな、と思った1日でした。

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